ジストニア
ジストニアとは
→①ジストニアは運動障害のひとつで、骨格筋の持続のやや長い収縮、もしくは間欠的な筋収縮を特徴とする症候で、異常な運動と姿位よりなります。
ただ、異常姿位はジストニアに必須ではなく、ジストニアの本態は異常運動にあります。
②定型的な異常筋収縮により、特定の姿勢や、反復もしくはねじれを伴う運動が起こります。
持続する姿勢異常、体のふるえ、まぶたを閉じることの困難、声の途切れ、あるいは頭痛、肩こり、腰痛などの多様な症状がジストニアによって生じます。
③大脳基底核を中心とする運動ループの機能異常による仮説が有力です。
周辺抑制の障害、感覚運動連関の異常、神経可塑性の異常などの仮説もあります。
ドパミン系、アセチルコリン系の異常も想定されています。
その他、一次感覚や、小脳、脳幹、脊髄を含む、さまざまな領域の機能異常も関係しているとされます。
④原因については、不明な点が多いです。
動作特異性ジストニアでは、一定の作業あるいは反復する作業が誘因となるという仮説もあります。
一部のジストニアの発症にはストレスが誘因となりえます。そのほか神経変性疾患、代謝性疾患、脳性麻痺、薬剤などが原因となりえます。
⑤問診にてある程度診断がつきます。
職歴(音楽家やライン作業従事者などにおいて局所性ジストニアが認められることがある。)
起床時の症状改善(ジストニア患者さんの一部で早朝に調子がよいこと)
精神疾患の既往、抗精神病薬の内服歴(薬剤性ジストニア)
そのほか外傷歴、家族歴などがあります。
また、特定の動作や姿勢で症状が誘発されるかどうかも重要です。
⑥原因療法のない局所性ジストニアでは、ボツリヌス治療が第一選択となります。
ただ、現在我が国ではジストニアでは、眼瞼痙攣と痙性斜頚のみがボツリヌス治療の適応となっています。
痙性斜頚ではボツリヌス治療をしないと自然に治るのは11~20%ほどとされています。
しかし、ボツリヌス治療により明らかに自然寛解率が増加していると考えられ、決して回復しない病気とは言えないとされるようになりました。