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痙性斜頸

痙性斜頚に対するボツリヌス毒素(ボトックス)注射

1.痙性斜頚とは
→痙性斜頚は、頚部の局所性ジストニア、すなわち一定のパターンを持った不随意な筋収縮による頭頸部の随意運動や頭頸部の異常と定義されています。
異常頭位には、回旋、側屈、前後屈、肩の挙上、側弯などがあり、複数の組み合わせで出現することが多いです。
痙性斜頚という病名が回旋を表すだけと囚われがちなので、欧米では頚部ジストニアと言われます。
また運動制限はあるが頭位に異常を認めない場合もあり、過半数で首肩こりの痛みを伴う、それが主症状のこともあります。

首肩こりでペインクニックを受診される患者さんも多いです。
そのほとんどがマッサージ、鍼灸、整形外科で投薬やリハビリなどを受けてから、それでもあまり良くならないので来院されています。
おそらく、首肩こりでペインクリニックを受診するくらいの重症首肩こり患者さんには、局所性ジストニアの割合が多いのではないかと思われます。

2.痙性斜頚に対する治療
→痙性斜頚に対する治療の第一選択は、ボツリヌス治療となり強く推奨されています。
理学療法をボツリヌス治療と併用することで治療成績の向上が期待されます。
薬物療法はボツリヌス治療の効果が不十分な場合に併用しても良いと、限定的な弱めの推奨エビデンスがあります。

ボツリヌス毒素治療では治療手技が重要で的確に責任筋に投与することが求められます。

3.痙性斜頚に対するボツリヌス毒素(ボトックス)注射について
→ボツリヌス毒素は、神経筋接合部で過剰な化学的電導を神経終板で阻害し、筋緊張を正常化します。
ボツリヌス毒素治療は、痙性斜頚に対する第一選択であり、異常姿勢の是正、頭頚部痛を著明に低減することが期待されます。
通常その効果の発現は3,4日後で、ピークは1~2週間後であり、その持続期間は3~4か月間となります。
痙性斜頚に対するボツリヌス治療はエビデンスレベルⅠの研究のreviewから、有効かつ安全であり、内服薬治療よりも有鉤で副作用も少ないと推奨されています。
痙性斜頚の自然寛解率が10~20%とされるのに比し、ボツリヌス毒素での治療では寛解率が約30%とされています。
痛みの軽減についてはさらに高く、当院での臨床経験上では8~9割以上の方々が首肩痛の軽減となっています。

痙性斜頚に対するボツリヌス治療の効果を向上させるには、超音波検査や針筋電図検査のモニタ併用による標的深部筋の正確な同定が肝要となります。
当院ではボツリヌス毒素注射時に超音波エコーガイドを用います。
深在筋の同定などに超音波エコーガイドは有効であり、また血管などの構造物も把握できるため血管穿刺などを避けることが可能となります。
また診断の上でも、筋、筋膜をエコーで診ることにより筋肥厚、肩こりの程度(筋膜肥厚や新生血管の有無等)が分かります。

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