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ケタミン注入療法とは

ケタミンのもつNMDA受容体に対する拮抗作用が、健忘、麻酔、解離作用の主たる原因であると考えられている。 NMDA受容体遮断は、げっ歯類において記憶形成を遮断することが示されている。

ケタミンの代謝は主に肝臓でなされ、ケタミンはノルケタミンに代謝される。ノルケタミンは強力な麻酔特性も持つ活性代謝産物である。
ノルケタミンの作用に加えて、ケタミンの親油性が、その標準的な導入量である1-2 mg/kgの経静脈的投与後の10〜15分という長い分布半減期の原因である可能性がある。
他の麻酔導入に使用する薬剤とは異なり、ケタミンを大量に投与された患者は、眼振、瞳孔散大を起こし、薬剤投与量が全身麻酔レベルに達しても閉眼できない状態が見られることがある。

ケタミンに関連する生理学的および向精神作用は、初の人体での研究以来よく触れられている。
血圧、心拍数、心収縮力、および全身の血管抵抗の上昇から、ケタミンの交感神経刺激作用がまず示された。
ここで観察された交感神経緊張の増加は、ケタミンによって副腎カテコラミン放出が引き起こされることによる二次性のものであることが現在知られている。
興味深いことに、ケタミン自体には直接的な陰性変力作用があるが、ここで示した交感神経性サージによって目立たなくなっている。
高交感神経緊張のある患者(例として外傷患者)をケタミンで麻酔導入する場合は、すでにストレス下にある副腎から放出されているカテコラミンの作用をケタミンの心筋抑制作用が上回る可能性があるため、注意を要する。

ケタミンは、呼吸様式への影響が最小限である数少ない静脈麻酔薬の1つである。
さらに、その気管支拡張作用は喘息患者に特に有益である可能性がある。気道分泌物の増加などの呼吸器への悪影響は、唾液分泌抑制薬を使用することで軽減できる。

ケタミン用量を増加していくと、ガンマバーストパターン(スローデルタ振動によって遮断されたガンマ振動)を生じ、その後に安定したベータ/ガンマパターンが発生するという、特徴的な脳波(Electroencephalogram, EEG)パターンが見られる。
このEEGの変化は、ケタミンによって誘発される無意識状態への移行に続いて起こる。

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